
省庁に出向してる人いるけど、どうやって選ばれるの?
出向する職員はエリートなの?
出向と派遣って違うの?
公務員の出向について教えて!
こんにちは、みに丸です!
今回は“公務員の出向”について、解説していきます。
国家公務員・地方公務員問わず、省庁・地方自治体・民間企業など様々なところへ出向しています。
この記事を書いている私も都道府県庁から霞ヶ関の省庁へ出向した経験があります。
そもそも出向とは何かという基本的な話から、具体的な出向先、どういった人が出向者として選ばれているのかについて書いていきますので、公務員の出向に興味がある方は参考にしてみてください。
それでは、早速本題に入ります!
公務員の出向とは?
公務員の出向は職員の育成と出向先とのパイプ作りを目的に、1〜2年間の期間を決めて外の組織に出て働きます。
違う立場の組織で働くことで職員の成長を促したり、出向先でのパイプを活かして、元の職場に戻った後に様々な情報を入手しやすくすることを期待して、職員を送り出します。
国家公務員、地方公務員限らず、出向は基本的にどこにでもある仕組みと言っていいでしょう。
国家公務員だと規模は大きく、省庁間・地方・民間問わず全国に数千人規模で職員が出向しています。
地方公務員の場合も国の省庁や県、市町村、民間などに毎年少数ですが出向しています。
私がいた自治体では、基本的には20代後半から30代前半の若手が出向するケースや課長になるタイミングで民間に出向するケースなど様々でした。
出向先で知り合った方の中には、入社後1回目の異動が出向先だった方もいたので、自治体によってさまざまです。
公募などで希望を取るケースもありますが、人事課から声がかかって出向することになるケースが大半です。
公務員の派遣と出向の違い
人事異動の際、ほとんどが内部の異動になりますが、若干名は外部異動となり、派遣や出向をすることになります。
職員の出向パターンは2通りあり、
・一度退職して転籍する出向
の2つがあります。
特に呼び方が決まっているわけではありませんが、私がいた自治体では、在籍型を派遣、転籍型を出向と呼んでいたので、この記事ではそのように定義します。
在籍型の派遣
私のいた自治体では在籍して出向する職員を派遣職員と呼んでいました。
この場合、出向元に所属したままで、出向枠の予算を使うことができるため、残業した分だけ給料が出るケースがほとんどです。
派遣職員の場合、若手職員の育成目的であることが多く、出向先で研修させていただくことになります。
もちろん、即戦力としてビシバシ働かされることもありますが、業務の大きな責任を負わされることは少なく、外部からのお客さまとして扱われることも多いように感じました。
転籍型の出向
一方で、民間や国への転籍して出向する場合は、所属は出向先になります。
一度退職辞令を受け取って、出向先の身分を持つことになります。
そのため、共済組合や保険証などのめんどくさい変更手続きをしなければいけません。
中央省庁への出向だと、プロパー職員(採用されている職員)と同様の扱いを受けて業務に取り組みます。
また、一度退職するとはいっても、派遣職員と同じように出向期間が終われば元の自治体へ戻ります。
当然、公務員試験を受験する必要はありません。
建築や土木職などの技術系職員が送られる国交省への出向の場合、派遣だと1〜2年、出向だと2〜3年という2パターンがありました。
この2つの大きな違いとしては、派遣職員は研修生として、転籍出向の場合は係長以上の身分として出向することが多く、出向先の身分によって決められていました。
出向期間は1〜2年程度が多い
基本的には出向期間は1年から2年の場合がほとんどです。
私は中央省庁に出向した際は1年契約でした。
身分は出向元に帰属したままの派遣職員として1年間仕事しました。
縁あって、そのまま出向元に戻らず民間へ転職したわけですが…。
私の周りにいた派遣職員の場合は、1年と2年の方がいて、割合は半々くらいでした。
元々、2年と知らされて派遣される人もいれば、年末くらいに「あと1年出向が決まったから」と突然報告されてショックを受けていた人もいました。
私も、転職しなければ後1年伸びていたかもしれません。
一方で、転籍出向の場合は基本的には2年間で、それ以上在籍することも場合によってあるみたいです。
そのまま出向先が気に入ってしまい、転職する人もいれば、環境の変化が刺激となって民間へ転職するような人も中にはいます。
公務員の出向先について
公務員の出向先としては、
・都道府県
・区市町村
・民間企業
・独立行政法人
・大学
など多岐にわたります。
とくに民間企業への派遣は人事交流の意味合いが高く、お互いの職員を交換して仕事をします。
民間への出向については、人事院のホームページ「民間企業と国との人事交流」もご参照ください。
以下は、私がいた都道府県庁における出向実績をベースに書いています。
国の省庁への出向
総務省、内閣府、厚労省、経産省、環境省、国交省などの霞ヶ関に勤務する出向ケース。
それぞれ各都道府県や各市町村からとても多くの地方公務員が集まって来ていますので、配属先は半分が出向者という感じでした。
私も出向中は大変でしたが、基本的にはどの省庁に行ってる方もそれなりに大変そうでした。
他自治体への出向
都道府県庁や区市町村などに出向するケース。
県庁に勤めている方は、県内の区市町村。
区市町村に勤めている人は、管轄する都道府県のパターンが多いです。
中には、災害復興派遣で福島・宮城・岩手にも定期的に派遣が行われていた時期もありました。
民間企業への出向
独立行政法人、商社、銀行、鉄道会社、ゼネコンなどへ出向するケース。
全国レベルで見ると、民間への出向先は相当に幅広いです。
一部の民間企業については人材トレードのような形を取っていて、民間企業からも職員が出向してきていました。
パイプ作りの役割も大きいのだと思います。
同じ仕事を依頼するにしても、相手方に1人でも自分側の人間がいればそこを窓口にしたほうが話が早いですからね〜。
国へ出向して得られるもの
ここでは、私の体験をもとに出向を通じて得られたものについて書いていきたいと思います。
霞が関への出向では、自治体ではなかなか味わえない多忙を経験させられます。
とにかく多くの仕事をこなし、仕事について考えまくることで、自らの「仕事観」「仕事の進め方」をアップデートする絶好の機会になるでしょう。
事務処理能力を得られる
ひたすら多量の業務を遂行する過程で、自然と事務処理能力が鍛えられます。
私の勤めた部署では、とにかくショートの締切依頼の業務が多かったです。
また、全国に調査を依頼し取りまとめることもありました。
波はありますが、短い期間に大量の事務処理を要する仕事がメインでしたね。
日々の仕事が高負荷トレーニングとなり、知らぬ間に事務処理能力がアップしている気がしました。
仕事への向き合い方や価値観が変わる
国のプロパー職員(出向じゃない正社員)は日々の仕事への問題意識が大きく、「国を良くしたい、変えたい」という思いや責任感が強いです。
自治体勤務だと、こういう役所仕事に対して情熱のある方になかなか出会えません。
本省出向を終えて自治体に戻ってきた後にも延々と続いていく公務員人生において、この仕事への姿勢は精神的な支えになるでしょう。
私は出向中、周りの人と仕事や将来の話をしていく中で、公務員より民間の方が向いているんじゃないかと考えるきっかけをもらいました。
「仕事で何を成し遂げたいのか」を強く考えている人がプロパー職員には多かったので、私は大きく影響を受けましたね。
また、他の自治体からの出向者も多かったので、出向しないと聞けないような情報を多く手に入れることができました。
結果的に民間へ転職したのですが、プロパー職員や民間の出向者の方々の話を聞かなかったら、間違いなく転職に至らなかったです。
仕事に対してより前向きになれる貴重な機会だと思いますよ。
収入がとにかく増える
言わずもがな、収入面への影響は大きいです。
出向期間中は東京23区勤務扱いになり、地域手当は20%で計算されます。
さらに部署によっては、残業代も凄まじい額になります。
派遣職員の場合は、出向元から出されるので、全額支給されると考えていてもいいでしょう。
さらに、地方から出向すれば、社員寮があてがわれるので、生活を変えなくてもお金が貯まります。
ただ、次の年に税金が大きく引かれるので使い過ぎには注意ですが…。
出向の大変なところ
出向では、得られるものが多い一面、大変な面もあります。
私が感じた大変な面を2つ紹介します。
忙しい職場に配属されることが多い
出向先は仕事が忙しいケースが多いです。
人手不足を派遣職員で補うように配置されることもしばしば。
出向先の機関も、ある程度優秀な人が出向してくることをわかっているため、人並み以上に業務をこなしてくれることを期待しています。
また、わざわざ業務の研修しに来た職員を暇な部署で遊ばせているのでは、出向の意味がありませんし、相手に対しても失礼ですからね。
そのため、大抵の職場が通常より忙しいです。
実際に私の出向した先も残業必至でした。
毎晩のように、プロパー職員と晩御飯を食べてから残業していましたね。
私の場合、一緒に食事したり飲みにいくくらいには仲良くやっていけましたが、中には業務量が多すぎてメンタル面をやられてしまう人もいます。
とは言っても1、2年です。
自分のキャパシティを大きくするいい機会だと前向きに捉えるべきでしょう。
家族や友人と離れ離れになる
地方から中央省庁へ出向する場合や被災地派遣は、家族や友人と離れ離れになります。
住み慣れた環境を離れて長期間働くのは多少なりともストレスがかかるものです。
また、結婚している職員の場合、出向によって家族にも大きな影響があります。
そのため、自分にとっても周囲の人にとってもある程度の準備や覚悟をしておく必要があります。
家賃を二重に払わなければならない人もいるので、さすがに気の毒でしたね。
ただ、出向期間ほとんど会えないかと言われればそうでもありません。
GWや夏休み、3連休の機会など月1で地元に帰っている出向者も多かったので、その辺りの年休取得の融通は効くと思います。
出向する人はエリート?
出向に選ばれる人は仕事が出来る人、将来期待されている人がほとんどです。
出向の募集に応募しても、必ずしも出向できるわけではありません。
それだけ人を選んでいるということですね。
というのも、出向する職員は自治体を代表することになります。
仕事ができない人を送りだすと、その自治体の評判が落ちますから、人事担当部局としても避けたいところ。
「来年からはナシで!」と切られる可能性もありますからね。
少なくとも、仕事ができなくて左遷目的で出向させられるということは考えにくいです。
私の自治体では、大学院卒の職員を優先的に国へ出向させている印象を受けました。
もちろん、様々なケースがあるので一概には言えませんけどね。
一応、私自身も出向経験がありますが、自分のことエリートだとは思っているわけではありません。
なんなら、出向して上には上がいることを痛感しました。
それでも、大変だった出向を終えて、達成感や自信がついたんじゃないかなと思います。
出向先から戻った後は出世コース?
私の出向したラインには出向者名簿というものがあって、歴代の出向者の情報をたまたま手に入れることができたのですが。
国の省庁や民間企業に出向した人は、戻ってきた人のキャリアを見ても、まさにその後の幹部候補といった感じでした。
ちなみに、出向から戻ってきた場合は、異動希望した部署で働ける可能性が高いみたいですよ。
また、出向者は昇格の節目に選ばれるケースも多いようです。
国も地方の場合も、県や市の課長として出向し、戻ってくるタイミングで昇格するという事例がありました。
まとめ
以上、今回は公務員の出向について解説しました。
普段と全く異なる立場で働くことは、職員にとっても非常に貴重な機会ですし、そこで職場体験することで、能力アップにつながる素晴らしい制度だと思います。
そして、出向する職員は順当に幹部候補生として期待されている印象があります。
ただ、あくまで「順調に成果をだせば出世できる」というレベルであって、出向したから確実に出世できるわけでもありません。
公務員人生まだまだ試練は続きます。
これから、出向される方はぜひ貴重な体験だと思いますので、自治体を代表して頑張ってきてください!
では、また。
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